Atelier

右手の震えを抑えて 

白地の紙とにらめっこ

勝ち負けはつかないままで 

遠くの方で鐘が鳴る

 

時計の針止ったまま 

過ぎ去る時を物語る

壁に掛かった自画たちを 

自賛していた頃のこと

 

カーテンを開けて 

ありふれた風景の中 

無くなったものばかり探している

 

赤い夕日を浴びて青い山に隠れた 

やがて綺麗な闇が月を連れてくる

パレットの上踊る色も捨ててしまおう 

どうせ描けやしないから

 

左手に持つマグカップ 

重いまぶたを持ち上げた

ウソで固めた結末が 

すぐ目の前を泳いでいく

 

無意識に落ちた 

当たり障りのない言葉 

聞こえない声ばかり探している

 

黄色い月がかげり緑の風の調 

やがて無口な雲がまた雨を降らす

戸棚の奥に眠るぼやけたその姿が 

薄れていく気がしたんだ

 

モノクロームの空に次は何を添えよう 

混ぜすぎた色たちがやがて黒になる

光になった君を描く色はないけど 

それはそれで美しいよ

 

光になった君を描く色はないけど 

それはそれで美しいよ